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手作り石けんで暮らしを彩る 手作り石けんで暮らしを彩る

手作り石けんに挑戦してみよう

自然素材を使った石けんの基本の作り方を、石けん作家さんに教えていただきました。今回作るのはオリーブ石けんよりも泡立ちがよく、しっとりしたコクのある白いマルセイユ石けんです。材料も道具も、まるでお菓子作りのようで、とても夢があります。ただし材料のひとつである苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)は、劇物扱いになりますので、取扱いには注意が必要です。ゴム手袋などできちんとガードをして、換気のよいところで作業を行ってください。また子供やペットにも気をつけてくださいね。

【基本材料】

  • ピュアオリーブオイル…500cc(458g)
    バージンオリーブオイルを使用すると緑がかったベージュの石けんになります。
  • パームオイル…70cc(64g)
  • ココナツオイル…120cc(112g)
  • 苛性ソーダ…83g(薬局で購入できます)
  • 精製水…250cc(250g)

【必要な道具】

  • ボール
  • 長いステンレス製の串、又は菜ばし
  • 泡だて器
  • 電子量り
  • 計量カップ
  • 計量スプーン
  • 蓋に穴を開けたビン
  • 料理用温度計2本
  • ゴムベら
  • 型(牛乳パック・ホッチキス・はさみ)
  • タコ糸
  • 保温箱(発砲スチロールの箱、又は段ボール箱を毛布でつつむ)
  • マスク
  • ゴム手袋
  • 新聞紙

素材はステンレス、ガラス、プラスチックのものを使いましょう。アルミや鉄は腐食するので使えません。どの道具も一般の家にあるものばかりです。普段使っているものでも、使い終わったら洗えば良いので、石けん作りのために買い足さなくても大丈夫。

【作り方】

  1. 作業はゴム手袋をはめ、マスクをし、換気扇をつけるか換気のよい場所で行います。
  2. ココナッツオイルとパームオイルを湯煎して液状に溶かします。
  3. オイルを量り、湯煎で約40℃(38℃〜40℃)に温めます。
  4. 精製水を計量カップで量ります。(あらかじめ冷蔵庫で冷やしておくとよい)
  5. 蓋に穴を開けたビンに量った苛性ソーダを入れ、精製水で溶かします。

    精製水と苛性ソーダを混ぜると化学反応で熱が発生するので、すぐに水につけ、冷やしながら溶かす。

    A 苛性ソーダに精製水を入れたばかり…白くにごっている
    B 完全に透明になるまでかき混ぜます。

  6. オイルと苛性ソーダの温度を40℃(38℃~40℃)に備えます。
  7. 温度が揃ったら苛性ソーダ水のビンに蓋(穴の開いたもの)をして、少しずつ泡立て器で混ぜながらオイルに入れ、20分間ひたすらかき混ぜます。
  8. 20分かき混ぜたらラップをし、1〜2時間おきにかき混ぜ、カスタードクリームくらいの硬さになるまで待ちます。(12時間〜24時間)

    ここまでがマルセイユ石けんの基本(真っ白で無臭)です。

    固まり度/
    A まだ早い状態
    B 良い状態

  9. その間に型をつくります。まず、洗ってよく乾かした牛乳パックを写真のように切り開いたものを2個つくります。
  10. 2個を向かい合わせて重ね、ホッチキスで3箇所止めます。

    型入れ前のここで、エッセンスオイルやハーブで香りづけしたり、クレイやパウダーで色付けをします。

  11. 先ほどつくった牛乳パックの型に石けん種を流し込みます。
  12. 発泡スチロールの箱か段ボール(毛布などで包む)の保温箱に入れ、1日寝かせ固めます。
  13. 型から出してナイフなどで切り分け、風通しのいいところで乾燥させます。
  14. 4週間程度寝かせたら、出来上がりです。

※手作りの石けんは、薬事法で指定されている「化粧石けん」ではなく、雑貨扱いとなります。使用にはパッチテストをするなど、ご自身の責任でお使いください。

オリジナルな石けんに挑戦してみよう

基本のマルセイユ石けんが出来たら、エッセンシャルオイルやドライハーブ、料理で使うスパイスなどお好みの素材をプラスして、色や香りはもちろん成分効果など自分だけのオリジナルな手作り石けんに挑戦してみてください。

ワンポイントアドバイス
  • カルダモンやパプリカなど、料理でお馴染みのスパイスを使って、色や香りをつけてみましょう。
  • ローズやラベンダーの花や、ドライハーブを入れると、また違った質感や色、そしてスクラブ効果も楽しめます。
  • クレイやエッセンシャルオイルには、色づけや香りづけだけでなく、成分の持つさまざまな効果も期待できます。
  • 可愛くラッピングして、親しい方へのギフトにも。材料を書いておけば、使う人も安心です。

石けん百華辞典

手作りの石けんは型から出したあと、じっくりと40日間熟成させて使います。この期間に天然成分「グリセリン」が出来上がります。ゆっくり熟成させる時間を楽しむのが、手作り石けんの醍醐味。あたりに漂うエッセンシャルオイルの香りにも癒されます。石けん作りの楽しさを知ったら、石けんについての知識もきちんと押さえていきましょう。

■石けんで汚れが落ちるわけ

石けんは泡が立たないと洗浄力がありません。水の力を借りて泡を立て、肌や布についた汚れを引き寄せ泡に包み込むのです。包み込んだ汚れは水で簡単に洗い流せます。これは石けんが油とアルカリと水でできているからなのです。石けんを使う時は汚れを包み込んでくれるように、よく泡立てることが大切なのですね。マルセイユ石けんはココナッツ油を加えているため、オリーブ石けんよりもしっかりと泡立ちます。

■石けんの始まり

石けんが生まれたのは偶然のこと。古代ローマ時代、神殿に備えるため動物の肉を定期的に焼いていたところ、滴り落ちた脂と灰が混じり合って土に染み込み自然と石けんが作られたのです。この土で手を洗うと汚れが落ちることに気づき、利用し始めたのが石けんの始まりだと伝わっています。この神殿があったのはSAPOの丘と呼ばれていた場所で、それが英語のSOAPの語源になったという説があるそうです。

■オリーブオイルの石けん

成り立ちからわかるように、長い間石けんは動物性の油脂を原料にしていました。そのため香りが良くなかったのです。ところが12世紀頃になると、オリーブオイルを原料とした石けんが生まれました。植物性の油を利用したため、香りがよく品質も高い石けんとなったのです。伝統的な製法で作られるマルセイユ石けんは今も人気があります。その後イタリアのサポナ、ジェノバでも石けん製造が盛んになっていきました。サポナはジャポンの語源だとも言われている土地なのです。

■石けんの作り方いろいろ

手作り石けんには大きく分けて二つの方法があります。ひとつは油と苛性ソーダを火にかけて反応させる「釜炊き鹸化(けんか)法」という方法です。マルセイユ石けんはこの方法で作られています。火を使うのでホット・プロセスとも呼ばれます。
家庭で作りやすいのはコールド・プロセスという、低温で鹸化させる方法です。熟成過程でグリセリンが生成されグリセリンがたっぷり含まれることになります。
現在市販されている石けんのほとんどは「中和性」という方法で作られています。あらかじめグリセリンを取り除いて製造するため短時間でできるのですが、お肌をしっとりさせる成分が含まれていないのです。

■石けんの熟成

手作り石けんはワインやチーズのように熟成期間が必要です。作り立てをすぐに使うのではなく、直射日光を避け、風通しのよいところで40日間程度寝かせておきます。出来立ての石けんはまだアルカリ成分が強いので、石けんに触れる場合は必ずゴム手袋を着用してください。じっくり寝かせてアルカリ性を低下させ、水分を蒸発させていくので、溶け崩れにくく、硬い石けんになっていきます。

■手作り石けんのメリット

食べ物は原産国や添加物などを注意する人が多いと思いますが、石けんまでチェックする人は少ないかもしれません。手作り石けんは防腐剤や合成界面活性剤などの化学物質を含みませんし、お肌に敏感な方でも材料を全て自分自身で確認できるので安心といえます。また手作り石けんは100%天然植物洗浄成分から出来ているので、肌に優しいだけでなく、環境にも優しいのです。使用後の排水は100%微生物により分解され、自然に還ります。
※天然素材でも体質によっては合わない場合もありますので注意してください。

■親しい人にプレゼント

石けん作りに慣れていたら、色や香り、成分を季節に合わせて、自分のタイプに合わせて調節してみたり、いろいろな形を工夫してきるのも楽しいですね。あなたが心を込めてつくった石けんはギフトにもぴったり。可愛いラッピングをして、プレゼントしてみてはいかがでしょう。